様々なモノやサービスの値段が10月から上がります。時を同じく、火災保険料が実質的に値上げとなります。一部の新築を除いて適用される模様です。特に、築年数が15年以上の戸建ての場合、2割から3割程度は上がる見込みです。ここ数年、毎年のように火災保険は値上がりしています。毎年の恒例行事化しつつあります。
この背景として、「年々増える自然災害による保険料支払いの高額化」によるものだと損保協会は言います。確かに、過去5年間に起きた大規模な自然災害を振り返ると、2018年(平成30年)に近畿地方を襲った台風21号では、保険金の支払総額が1兆円を超えていたというデータが出されています(参考:損保協会 「令和4年度税制改正に関する要望」)。その翌年である2019年(令和元年)には、東日本や関東地方を襲った複数の台風で、支払総額がこちらも1兆円を超えています。それ以降も、毎年のように日本のどこかの地域で豪雨災害や台風による災害が起きている状況で、損保協会の言い分は理解できるものがあります。
しかし、自然災害は昔から起きていたことには変わりありませんし、保険料を毎年のように値上げする論理はおかしい気がします。けっきょく、自然災害がどこで起きるかによる要因が大きいのが現実です。大都市圏で自然災害が発生した場合の方が地方都市のそれと比べると明らかに保険料の支払総額が大きくなります。保険会社は、大都市に自然災害が起きないことを祈祷するよりも毎年の値上げにより会社の経営を維持させる方が現実的なのです(当たり前ですが)。
建築物に関わるランニングコストは今後ますます上がっていきます。この上昇に対し、所有者や住まいての収入(可処分所得)が増えていけば良いのですが、日本はジリ貧状態が続いています。保険内容を見直すことは支払い抑制の観点から効果はありそうですが、火災保険以外の保険に加入したら一緒に見直すのも良いかもしれません。家計に苦しんでいないのなら話は別ですが。