椅子とワインの話

リフォーム

私が医療機器メーカーの新入社員の頃、上司からこんな言葉を言われました。

「接待の時は、ワインだけは選ばせるな」。

これは、自分のお財布を守るための助言で、ワインは安い物からびっくりするほど高額な物まであるので、うっかりおもてなす人に「何でも飲んでください」と言うとお会計の時に青ざめる思いをするからです。これは、当時の上司の実際の経験談からによるものでした。今でこそ、医療関係者への接待は昔のようにはできませんが、昔の接待はとんでもなかったといいます。

紆余曲折あり、建築の仕事に携わる中で、これってもしかしたらワインと似ているなと感じた物がありました。

それは、椅子です。

椅子は寝たきりの方でない限り、ほとんどの方が毎日のように使用しているものの一つです。(洋式便器を椅子とカウントするかどうかはさておき)

ワインと違い、私を含め飲酒の習慣がない方と違い、日常的に使われる椅子。皆さんは、椅子を自分のお金で買うとなると、どこで買いますか?いくらまでなら出しますか?

おそらくですが、ほとんどの方が、ニトリやIKEAをまず思い浮かべるのではないでしょうか。それ以外では、大型家具店であったり、ホームセンター、いやいやDIYという方もいらっしゃるかもしれません。

同じようなデザインでも椅子の値段はピンキリです。例えば、ニトリで売られている椅子は大衆向けですが、カッシーナの椅子は明らかにマニア向けです。価格差でいうと、文字通りケタ違いで、10倍は軽くします。

田舎の男性は、ある程度稼ぐと高級車を買う傾向があるように見えますが、椅子にお金をかける人にこそ、その人のステータスや仕事への向き合い方がわかります。

そこで、もしその人のことをよく知りたいと感じたら、座っている椅子を訊ねるのも良いかもしれません。私は関わる案件では、家具まわり特に椅子は必ずチェックするようにしています。

少し話を戻しますが、椅子とワインの共通点で私が考えるポイントは、椅子の座り心地は、ワインの味わいと似ているような気がします。残念ながら、私はお酒を全く飲まず、高級な椅子も持っていませんが、椅子もワインも多様性と奥行きがある世界だと思います。いつかは自分のワークチェアを良いものに変えたいです。

興味のある方は、椅子に関する書籍やウェブサイトがたくさん出ていますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。インテリアがワンランクいやツーランクくらい上がりますよ!