自邸を設計しない建築家

リノベーション

『家好き芸人アンガールズ・田中が行く! 建築家の自邸探訪』(扶桑社ムック、2022年)というムック本が設計者界隈で密かな話題となっています。広島大学工学部卒業で人気芸人のアンガールズの田中さんが建築家の自邸を探訪するという企画の本です。アンガールズの田中さんは建築の専攻で、以前からテレビや雑誌などでたびたび紹介されてきました。この本を実際に手にとって読んでみると、建築家としての作り手の考え方がよくわかります。一方で、自邸を建築しない建築家の方がおられます。著者の周りでもいらっしゃいますが、一体どういう考えがあるのかご紹介したいと思います。

1.持ち家を避ける
自営業をされている方で、節税対策のためにあえて自邸を「持たない」という選択をされています。ちなみにその建築家は借家に住んでいます。借家はご自身で設計されたそうなので、自邸と言えば自邸です。

2.実はマンション派
マンションは眺望が良く、鉄骨)鉄筋コンクリート造が多く頑丈なため、戸建て住宅を自邸として住まうよりもマンション住まいの方が良いという意見です。その建築家は、建築構造を専門にされている方で、ある意味納得でした。

3.独特の哲学
「自邸を建てたら建築家人生が終わる」と風変わりな考えを持つ方がいます。彼は長年賃貸住宅に住んでいます。だいぶベテランの方ですが、自邸を建てる気配はないようです。

4.理想の土地がない(本当は経済的な問題かも)
好立地、日当たり抜群、檜風呂、プラネタリウム…。理想の住まいを考えると十人十色の意見があります。当然ながら、建築家にも理想とするものがあります。建築に携わる者であればやはり自邸の建築は憧れるものです。しかし、「理想の土地に理想の自邸を建てれないなら建てない」という考え方の建築家がいます。おそらく、理想を叶えるためには相当なお金が必要なのかもしれません。

以上、自邸を建築しない建築家について述べました。ちなみに、著者は建築家ではないのですが、自邸を建築していません。理由は、単身なので自邸を作りたいという気分になれないのです。このままお一人様が続けば、狭小住宅を建てるかもしれません(笑)。