ありそうで無い家?!

リノベーション

これから梅雨を経て本格的な夏シーズンへと突入していきます。
著者の住む戸建て住宅は田舎にあるせいか、この時期になると虫という虫がわんさか現れます。蠅(ハエ)、蛾(ガ)、蟻(アリ)、蚊(カ)などなど。もう少し後にはGが現れます。

マンションの高層階に住むようになれば、きっとこのような「虫問題」とは疎遠になるのでしょう。しかし、日本全国、一般的な戸建て住宅で「虫問題」「小動物問題」と無縁な家庭はなかなか無いように思えます。

「もしGが全く出ない家があるとするならば、あなたはいくら出しますか?」

「もし蚊が入ってこない家があるとするならば、あなたはいくら出しますか?」

「虫が1匹も寄り付かない照明があれば、あなたはいくら出しますか?」

昆虫が苦手な方であれば、このような家は間違いなく欲しいと思います。代替手段として、高層階に住むであったり、徹底的に防虫対策を施すのが一般的です。しかし、残念ながら虫が全く出ない又は寄り付かない戸建住宅というのは、世界中どこを探しても滅多に存在しないと思います。(もちろん、特殊な環境下は例外とします)

タイトルにもありそうで無い家は、虫以外でも色々なアイデアが生まれてきそうです。子どものような自由な発想があれば、いくらでも付箋に書き殴れそうです。ところが、どんなに自由な発想が生まれても、現代社会の最重要問題の一つである気候変動は避けては通れない考え方です。そのため、気候変動と真逆をいくようなデザインはもはや現代社会では許容されません。エネルギーを浪費する家、暑くて寒い家はもう時代遅れなのです。

日本では、気候変動というワードに比べるとSDGsの方がより一般的です。見ない日は無いほど一般化しています。色々な企業がSDGsに関する目標を設定していますが、建築に関わる全ての人は、SDGsもそうですが、気候変動というそもそもの問題を意識した視座が重要だと考えます。それは、気候変動によっていま現在に無い新たな問題や危機が顕在化する恐れがあるからです。

例えば、どういうことかと申しますと、虫の問題です。再び虫の話になりますが、気候変動による温暖化で、日本列島に亜熱帯又は熱帯にしか生息しなかった虫が住み着く可能性があります。特に注意したいのが蚊です。かれこれ8年前になりますが、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツが公表した記事によると、人間を一番殺している生き物は蚊だというのです(人間は第2位)。蚊は様々な病原体を媒介します。デング熱、マラリア、黄熱病、日本脳炎などはその代表的なものです。(英語ですがイラスト多めでわかりやすいです。https://www.gatesnotes.com/Health/Most-Lethal-Animal-Mosquito-Week)いずれ日本でも、危険な病原体を有した蚊が一般的になるでしょう。シンガポールのように、ビルや飲食店が並ぶ街並みで当たり前に防虫剤が撒かれる日がやってくるかもしれません。

今後、ありそうで無かった家、何らかの気候変動の対策がなされた革新的な家は十分現れる可能性があります。