【2022年】リフォーム検討者は必見!リフォーム業界はこうなる(2022年1月13日加筆)

リノベーション

はじめに

年頭に建築業界取り分けリフォーム業界はどのような1年になるのかを考えてみました。ぜひご笑覧いただければ幸いです。なお、1月13日に加筆しています。

工事価格が上がる

2021年は、世界的に物価が上昇した年でした。2022年もこの傾向は続くでしょう。例えば、アメリカではアメリカ労働統計局のデータによると、食料品が6.1%、エネルギーが33.3%も上昇しています。(https://www.bls.gov/charts/consumer-price-index/consumer-price-index-by-category.htm)日本はどうでしょう。総務省が毎月発表している消費者物価指数は、11月時点で0.6%とかなり低い水準です。(https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
とはいえ、建材価格はというと、この1年でほとんどが値上がりをしています。

ここで、読者の方に留意していただきたいのは、2021年に広範囲の建材価格が2割や3割上昇しているので、どこのリフォームを行なっても工事価格は上がるということです。

昨年ニュースや新聞を賑わせた「ウッドショック」という言葉があります。これは、新型コロナウイルスが収束した(アルファ株・ガンマ株)タイミングで、アメリカや中国といった人口が多く経済力がある国で、木材需要が急増したために起きました。木材は主に住宅を建てるために使われます。日本は、国際的な木材市場で買い負けが続き、外国産材に依存している問題が浮き彫りになりました。このウッドショックですが、2022年に入りあまりニュースや新聞で見かける機会が少なくなりましたが、実際のところどうなるのでしょうか。世界的な木材価格の先行きを見る上で、シカゴの木材先物価格は重要な数値となります。(https://www.bloomberg.co.jp/quote/LB1:COM

1月12日時点の実際に値動きを見てみると、2021年5月をピークに一旦は右肩下がりで推移していたのですが、2021年11月頃から再び上昇に転じています。年が明けた2022年に入っても上昇トレンドは変わりません。昨年の値動きを見ていると、今後も春先にかけて上昇トレンドは続くかもしれません。このように改めて見てみると、過去5年間で木材価格がいかに上昇したかが分かります。

このように、ウッドショックによる木材価格だけでなく、その他の建材全般に世界的な物価上昇の波を受けている状況です。これは給料が上がらない給与所得者だけでなく、年金受給者にとってもとても耳の痛い話です。

では、リフォーム検討者にとって何か有効策はないのかという話です。日本は、物価だけが上がり、上昇に見合うだけの賃金が上がらないいわゆるスタグフレーションになってきているという専門家すらいる中で、少しでも安くリフォームしたい消費者は多いはずです。現時点で、私が提示するのは下記の3つの視点です。

1.リフォーム補助金を活用する

2.思い立ったら早めにリフォーム工事を依頼する

3.建材のスペックを下げる

まず、「1.リフォーム補助金を活用する」は国土交通省が令和3年度の補正予算で実施する「こども未来住宅支援事業」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001447800.pdf)を活用するとよいでしょう。昨年実施された「グリーン住宅ポイント」と補助額が同等の内容となっています。ただし、懸念点としては、下限が設定されていることです。グリーン住宅ポイントの時と同様に、補助金が最低でも5万円からしか支給されないので、複数箇所の工事を行わなければならないでしょう。そのため、業者の方に補助金の下限を下回らないようにしっかりとチェックしてもらいましょう。もう一つは、断熱改修工事も補助金を受けるための必須要件となっています。断熱改修はコストがかかるイメージですが、手軽にリフォームできる建材は、内窓です。今ある窓の室内側にもう1つ窓を設けるのです。内窓を設置することで二重窓の状態となるため、部屋がめちゃめちゃ快適になります。

「2.思い立ったら早めにリフォーム工事を依頼する」については、今後も建材価格が上昇することが多いに考えられるからです。建築業界では、「一度上がったものは下がらない」ことが通説です。工事代金は、材料代と工賃で分けられることがありますが、どちらも一度上がったら上がりっぱなしです。メーカーや販売店、職人も口を揃えて業界の常識だと言います。そのため、もしリフォームしたいところがある場合、できるだけ早めにアクションを起こしたほうが良さそうです。かくいう筆者も、自宅のリフォームが必要であることがわかったので、すぐに建材を発注しました。その建材はトイレなのですが、半導体不足で納期が長期化しています(その影響につきましては後ほど説明いたします)。何から始めれば良いかをわからない方は、業者から見積もりを取るだけでも良いと思います。よくある3社で相見積もりをとっても良いですし、信頼できる工務店や建設会社があるならそこから見積もりを取るのも良いでしょう。いずれにせよ、行動は思い立ったが吉日ではありませんが、早めの行動をおすすめします。

「3.建材のスペックを下げる」は、工事価格が上昇することを抑えるには、建材のスペックを落とすことをまず考えましょう。具体的に、キッチンなどの設備機器であれば、グレードを下げるだけでも金額がかなり変わってきます。床工事であれば無垢材からフローリングに変えると平方メートル単価で多少の金額は抑えられるでしょう。他にも安いメーカーに変える、機能性がシンプルなものを選ぶなどが挙げられます。金額が大きいリフォーム箇所から積極的に見直しに着手すると、総額に占める影響度合いが変わってきます。リフォーム費用を含め、建築に伴う費用はわかりにくい項目や明細が多いので、専門用語を見つけて意味がわからない場合は必ず業者に確認しましょう。業者がもし教えてくれなければ、遠慮なく違う業者に再見積もりや工事の発注をかけた方が身のためです。そして、見積もりが変更となった際には、最終的な仕様はどのようになるかも確認するようにしておくと良いでしょう。

半導体の影響を受け続ける

2022年も半導体の影響を受け続けることが予想されます。建材に半導体って使われているのか?と疑問を持たれる方もいるでしょう。そもそも、半導体とは、ざっくりと言えば、電気を通す(導体)の性質と電気を通さない(絶縁体)の性質をそれぞれ半分ずつ持つ物質です。スマートフォンの画面をイメージしていただきたいのですが、指で画面を押すと反応しますよね。しかし、鉛筆や箸で画面を押しても何も反応しません。それは、スマートフォンの画面に半導体が使用されており、指で押すと電気が通り、反応するような仕組みになっているからです。

建材で使用されているもので代表的なものが、ウォシュレットと給湯器です。詳細な技術資料は公表されていませんが、調べてみると温度を一定に保つ機能に半導体が使用されているようです。トイレの最大手メーカーであるTOTOは、ウォシュレットの製造をベトナムで行っています。ベトナムは昨年秋頃まで新型コロナウイルスの流行により、ロックダウンの措置が続きました。その影響で、TOTOの工場は閉鎖され生産がストップしていました。ロックダウン解除後は、徐々に生産は回復しているようですが、ウォシュレットに関して言えば、4ヶ月の納期は当たり前のようです。この状況を鑑み、2022年末まで影響が続くと予想する専門家もいます。現に、トイレや給湯器のメーカーに納期を確認しても、即答で納期の回答はきません。いつになったら生産供給が安定するのかは、不透明なままです。

義務化される石綿(アスベスト)調査報告がガン無視

2022年4月から、一定の建築物を解体または改修した際の石綿(アスベスト)調査報告が義務化されます。これは、厚生労働省、国土交通省、経済産業省の3省にまたがる横断的な施策です。現場で働く筆者の肌感覚としては、アスベスト調査が義務化されたことすら知らない人が少なくありません。現場で働く方は、会社からの通達や研修などが情報源となっているため、結局は上から情報が降りてこないとわからないのが実情です。今後予想されることは、アスベスト調査報告が対象となる建築物にもかかわらず、従来通りの手順で工事が進められるということです。そして、行政指導が入って初めてこのような制度があったことに気づくパターンが少なくないと考えます。

石綿(アスベスト)の危険性は昭和の大昔から指摘されていましたが、国が生産や使用を禁止せず、ようやく2006年に全面禁止措置が取られました。昨今、ニトリやカインズホームで販売されていた珪藻土マットに石綿(アスベスト)が混入していることが問題となりましたが、石綿(アスベスト)は削ったりした状態つまり細かな粒子の状態となるとかなり危険な物質となります。その粒子状態の石綿(アスベスト)が口や鼻を経由して肺に入ってしまうと、肺に深刻なダメージを与えかねない事態となります。解体工事やリフォーム工事にあたり、石綿(アスベスト)の影響を予測することで、作業者への身体的な影響を少なくしようという趣旨もこの新制度にはあるのかもしれません。「悲惨な飛散を防ぐ」目的とでも言いましょうか。

ところで、このアスベスト調査報告は、アスベストが「無い」という明確な根拠を報告しなければならないため、書類作りに慣れない方や知識がない方はハードルが高いと言えます。自社で行うか外注に出すかで、金額が大きく変わることすら予想できます。

以上ような背景から、現場で調査報告が円滑にされるとは到底思えません。理由としては、罰則規定がない、施主に費用を納得してもらえない、工期が優先されるということが挙げられます。制度はあるのに、実態はめちゃくちゃなままであることが容易に想像できます。

まとめ

上記で紹介した内容は、どれも暗い話ばかりですが、もしかすると今年の早い段階で好転するかもしれません。今後の動きに注視し、お得な情報があればブログで紹介していきたいと思います!