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屋根裏から400年前のノミ、大工の置き忘れか…京都・大徳寺

屋根裏から400年前のノミ、大工の置き忘れか…京都・大徳寺(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
京都市北区の大徳寺で解体修理中の建物「方丈」(国宝)の屋根裏から、約400年前の大工道具「ノミ」=写真=が見つかった。京都府文化財保護課が18日、発表した。1635年の建立時に、大工が置き忘れた可
大徳寺創建当時の大工さん(当時はおそらく小工さん)が、忘れたものと記事には書かれています。古くから、大工さんは良い仕事をして建てた建築物の見えない箇所に、自分の名前を刻んだり、道具を残すと言われてきました。現代でこのようなことをして見つかろうものなら、施主からクレームを受け、事態が泥沼化すれば裁判沙汰も避けられません。
こういった大工の行動は「けしからん」と考えるのか、「粋だなぁ」と考えるのか。私は、後者だと考えます。大工道具は、今でこそ100円均一で手に入るものの、優秀な職人さんは手に馴染むオリジナルを作ったり、高価な物を買ったりしています。そして、その道具を活用するために研いだり、補修したりと手入れを欠かせません。思い入れのある大工道具を手放すことは、つまりどういうことか。私が、職人の気持ちで考えると、「この建物を造り終えた今、もう人生に何も悔いはない」と思うのです。例えがだいぶ昭和になりますが、芸能界を引退する際にマイクをステージの上に置いた山口百恵と同じようなパフォーマンスなのです。
そのため、きっと大徳寺にノミを置いた職人さんは、きっと置き忘れなんかではなく、誰に見られても恥ずかしくない大工道具をこっそり隠したのだと思います。400年前は現代と異なり、およそ人生30年時代ですから、著者の年齢(アラフォー)では死期が近づいています。わずか30年ほどの短い人生の中で、大徳寺のような素晴らしい建築物に携わり、最高の仕事をした職人さんは万感の思いだったに違いありません。
あなたは、良い仕事をしたなと思った時、どんな行動をとりますか?