【ブログ】坪単価の考え方

家づくり
坪単価とは?

新築分譲住宅や中古住宅を購入する際に当たり前のように使われる「坪単価」という考え方があります。これは、建物の価格を面積である坪数で割ることで、1坪あたりの金額がどれほどなのかを目安とする考え方です。様々な書籍やウェブサイトで坪単価について書かれていますが、坪単価は本当に厄介な物差しです。1坪は約3.3㎡ですが、まずその定義が違ってきます。どういうことかというと、日本の建築物(特に住宅)では、京間、関東間、田舎間という呼び名の地域ごとの尺度が用いられます。そのため、同じ1坪でも微妙に大きさが異なってきます。厄介なのは、地域ごとの尺度がハウスメーカーの標準仕様となっていることがあるケースです。この場合、いくつかのハウスメーカーや不動産会社どうしで検討していると、使われている尺度が異なるため、一口に坪単価といえど、平等な計算式ではないのです。

建築業界や不動産業界が「坪単価」を使い続ける理由

では、なぜこのような厄介な指標である坪単価が使われ続けているのでしょうか。建築業界や不動産業界の関係者は面倒だとは思わないのでしょうか。これは、2つの理由が考えられます。まず1つ目の理由は、競合他社よりも安く見せることができるからです。どういうことかというと、ハウスメーカーごとに坪単価の定義が異なるので、例えば価格が1,000万円とすると坪数が多い方が坪単価が安くなります。なので、坪数を増やして安く見せている場合があります。厳密には、坪単価は同じ物件で設備や建材のスペックを上げたり、間取りを増やした場合に使われるのが一番良いのですが、どこの業者に依頼するかを決めた段階でしか使われません。

二つ目の理由は、何となく使っているからです。業界的に当たり前に使われ続けてきた結果です。さらに面倒なことを言うと、建築業界内の坪単価と不動産業界の坪単価も異なる考え方なので、もうカオスです。海外はどうなのかというと、アメリカでは「平方フィート」という尺度で統一されています。例えば、

Price/sqft:$300

といった具合です。Priceは価格、sqftは平方フィートを意味します。価格を平方フィートで割った値段が300ドルという表記です。フィートは、メートルと同じように世界基準で同じ尺度ですので、考え方も同じです。日本では、フィートという尺度よりもメートルの方が一般的です。住宅も坪単価よりもメートルを用いた平米単価で表した方が、消費者にとってもわかりやすいのではないかと思います。坪単価をやめて「平米単価」で統一すると、フェアな比較ができやすいでしょう。

まとめ

坪単価は厄介な考え方ですが、いまだに使われ続けています。そのため、弊社で坪単価の話しをする際は、お客様にあくまで目安程度に伝えています。住宅は人生で一番高い買い物の割に「情報の非対称性」(売る側と買う側の持つ情報や知識の差)がとてつもなく大きな契約です。それを前提として、売る側も買う側も納得した上でしか、契約しません。住宅(家)は住むだけの箱ではなく、その人(家族)の人生を作っていくものだからです。今後もこのウェブサイトで、「情報の非対称性」を少しでも埋めるような役立つ情報を発信していきます!