【ブログ】古民家を決定付ける要素とは?

古民家

ちまたでは、古民家リフォームや古民家リノベが増えてきている印象です。田舎に行くと、空き家問題があちらこちらに点在しており、中には名家や大地主といったかつての権力者の立派な家が老朽化や維持管理の問題で解体されているのが昨今の現状です。

今回のタイトルである「古民家」ですが、非常に定義が曖昧な概念です。年代的にもデザインにも定義がありません。私はカフェが好きで、古民家カフェに行っても全く古民家らしさを感じないこともあります。では、古民家っぽさを感じるのは一体なぜか、その正体は何なのかを外装と内装から考えてみました。

外のデザインを決定付ける要素

①屋根の形状
屋根の形状は非常に多彩なバリュエーションがあります。日本の住宅は、切妻屋根、片流れ屋根、寄棟屋根の順に割合が多いです。しかし、昔は切妻屋根、寄棟屋根、入母屋屋根が主流でした。特に、入母屋屋根は複雑で施工難易度が高いので、現代の若い大工では太刀打ちできないという専門家もいます。かつては屋根の仕上げは茅葺き、瓦などが一般的でしたが、屋根の形状をそのままに仕上げをガルバリウム鋼板等の金属板で仕上げた場合でも、屋根の形状が当時の趣きを残したものであれば、古民家らしさを感じることができます。

画像:ホームズより

②窓や戸などの開口部
窓や戸は、家全体を顔で例えるなら、目や口に例えられます。かつては開口部に障子、組子などが使われていました。また、古い住宅には薄いガラスなども使われていました。このような部材は現代ではほとんど使われることはありません。そのため、現代の住宅との対比的な意味合いでの「らしさ」であると言えます。

内のデザインと決定付ける要素

①広い土間
昔は、日本の住宅内に広い土間があるのが一般的でした。農業で使われることもありました。玄関がなく土間から部屋に上がる家もありました。現代の住宅ではほとんど見られない光景ですね。入り口から建物内に入ると広がる土間の光景。何だか昔にタイムスリップしたかのような気分になります。土間が現代と過去をつなぐのです。

画像:SUVACOより

②魅せる梁(はり)
日本の住宅は昔から木造が主流で、柱と梁で組み立てる工法が現代まで伝わっています。古民家の部屋にいて、天井を見上げると天井を横切るようにかけられた梁。昔は高価で立派なものが使われることが多々ありました。現在は木を加工し接着した集成材が使われますが、昔は木一本を加工して使用していました。そのような魅せる梁は、現代の新築住宅ではなかなかお目にかかれません。古民家に魅せる梁があると、何だか古民家感がしませんか?

③渋さ・薄暗さ
色合いが渋いのも古民家っぽさを決定付ける要素だと思います。日本はかつて防腐剤に自然のものを重用していました。これらは年月を経て、独特の渋さを出します。同時に、部屋のどこか薄暗い感じも演出します。照明が現代のものであっても、どこか薄暗いのです。不気味なというよりは、優しい感じの薄暗さです。

これらの要素は全てを満たす必要はありませんし、人によっても感じ方は様々です。建築のプロ目線でいったらこんなものかなといった要素をご紹介いたしました。古き良き日本の住宅の味わいを楽しみましょう。それでは、また!