あらゆる建築物のデザインは、決定権者である誰かが決めています。外壁の模様や柄、室内の内装、それら全て何かしら決定権者の意図によって生まれます。現代日本の家づくりの場合はどうでしょう。注文住宅の場合、間取りと並行して外観のデザイン、色味、設備機器のスペックなど色々な家の箇所でデザイン決定が求められます。基本的には、市販品を用いる場合がほとんどです。この市販品の組み合わせにより、施主が生み出すオンリーワンの住宅が出来上がってきます。
建材メーカーは非常に多岐に渡ります。極論をいえば、建築物を構成する材料の全てにメーカーがあると言っても過言ではありません。建材によっては意匠性はそこまで要求されないが耐久性を求められるものがある一方、意匠性が強く求められるものもあります。建材メーカーの商品開発は本当に大変だろうなと、商流の川下にいる建築関係者である著者は想像するのであります。
そのような中、城東テクノという建材メーカーから新商品の案内のメールマガジンが届きました。城東テクノは、換気部材、金物、点検口など幅広く取り扱っています。今回発売される新商品とは、洗面脱衣所や台所にある床点検口に体重計を内蔵させたものだというのです。これは建築に携わる身として「とても面白い視点だな」と感じました。床点検口は、文字通り床下を点検するために設けられたもので、四角いフタのようになっています。点検口の蓋を開けると収納箱があるのが普通で、収納箱を取り出すと、床下へ潜れるようになっています。その点検口の蓋の部分に、タニタ製の体組成計をぶち込んだ作りとなっています。この商品、新築だけでなくリフォームでもOKという優れものです。
商品名は「NORNE」。読み方は、ノルネ。何が面白い視点かというと、床点検口は、ほとんどの戸建住宅で洗面脱衣所にあること、そしてその洗面脱衣所には体重計があり、場所をとっていること。この二つの着眼点から城東テクノとタニタのシナジー(相乗効果)で商品が生まれたという点です。このコラボ系の建材ってあるようで今までなかったなぁと記憶しています。過去にディズニーとコラボした建材を見たことがありますが、ディズニーは世界最強クラスのコンテンツですから、版権とかが大変なイメージです。この「NORNE」のように異業種とコラボした建材はとても面白い取り組みだと思います。著者なりに異業種コラボ系建材をいくつか考えてみました。肌の調子がわかる洗面化粧台、歯磨きの仕方をレクチャーする洗面化粧台、万歩計付きの床材、「整う」が1坪で完結するユニットバス、見るだけで視力が回復する壁紙、蚊を寄せ付けない玄関ドア。どれも著者なりの「あったらいいなぁ」が詰まっています。建材メーカーの方、この記事を読んでいたらぜひ商品化を検討してください!
という感じで、これからも建材のアイデアや技術には目が離せません。面白い建材が発売されたら、改めてブログなどで紹介したいと思います。それでは、また!