はじめに
最近、高級なシャワーヘッドが人気のようです。安価で普及品のシャワーとは異なる「水」を出すことで付加価値を与えているものがほとんどのようです。正規品以外にも類似品が出回っており、中にはコピー品も出回っているとニュースで報道されていました。そもそも、この現象って一時的なブームなのかそれとも今後も続くトレンドなのかを考えてみます。
ブームとトレンドの違い
著者の近所に新型コロナ禍の直前にオープンした高級食パン店が先日潰れました。一時は、長い行列を作っていましたが、次第に客足が遠のき、気付いたらという感じでした。高級食パンを著者は何度か食べたことがあるのですが、決して習慣化することはなかったです。自分の周りを見ても、高級食パンを頻繁に買っている人はほとんどいないようです。この高級食パンは、タピオカドリンクと同様に誰かが仕掛けた宣伝によって爆発的なブームとなったのです。そして、もしかすると何年かおきに突如またブームとなるような感じです。イメージとしては、「イナゴの大発生」的なものでしょうか。
一方で、トレンドは不可逆的なもので、一度トレンドになるとほとんどの場合がもう2度と戻れないというものです。最近生まれたトレンドで代表的なものがリモートワークです。特に、都心部では毎日の通勤が当たり前だったのが、現在では週に何日か出社すれば良いという会社が少なくありません。著者の友人は、家に居づらい時は会社に申請して出社させてもらっていると言っていました。もはや、企業の通勤スタイルは新型コロナ禍以前にはもう戻れないでしょう。現に、鉄道各社は運行ダイヤを見直しています。日本の少子高齢化とこのリモートワークという2つのトレンドにより、インバウンド客がよほどの限り鉄道を利用しなければ、鉄道を運行しても企業に利益がない状態になりかねません。リモートワークの普及は、住まいでいえば書斎の設置や間仕切り、ワークスペースといった形で次第に取り入れられています。
建材にブームは滅多にない
では、シャワーヘッドの話に戻りますと、シャワーヘッドをそもそも建材と位置付けるかどうかは難しいラインがあるのですが、設備機器の一つなのでここでは建材という前提で話します。過去を振り返ってみても、数多ある建材でブームとなったものは滅多にありません。過去の記憶でブームになっていたものは、浄水器があります。これも水に関わるものですが、今回の高級シャワーヘッドは、ブームと位置付けることができそうです。理由としては、ほぼ全ての家庭にありそうなシャワーとの差別化である点と、シャワーヘッドはブームになりやすい「美容と健康」のカテゴリーにも入っているからです。そのため、建材のブームというよりもむしろ「美容・健康グッズ」としての色彩の方が強いと感じます。建材は基本的にはトレンドによる「変化」をもたらすものです。住まいの変化によるトレンドは数多くあります。例えば、和式トイレから洋式トイレへの変化、マンションに多い白を基調とした部屋、畳部屋の現象などがあります。これ以外にも、戦後日本は数々の変化が起き、今ではトレンドとなっているものがあります。一過性のブームに終わった建材は滅多になく、ブームにすらならずに消えていくものがほとんどです。現在の一戸建て住宅に使用される建材はトレンドを大きく反映しているものとなります。
というわけで、高級シャワーヘッドはブームによるものと考えられるので、トレンドにはなりにくいでしょう。クリスマスプレゼントに高級シャワーヘッドを考えているなら、「これはブーム品だ」と認識してからプレゼントするようにしましょう!