ハウスメーカーはもう安さをウリにしなくなるのでは、という話

不動産

はじめに

新型コロナウイルスが既に「終わったもの」となりつつ海外とは対照的に、日本ではまだ猛威を振るっているように連日報道されています。その新形コロナ禍でようやく経済が動き出した頃にアメリカや中国で住宅需要の高まりから世界的な木材不足に陥り、日本が供給不足となってしまいました。建設業界で「ウッドショック」と呼ばれている現象です。追い討ちをかけるように、ウクライナ情勢、円安、エネルギー資源高のトリプルパンチがサプライチェーンのさまざまな局面で影響を見せています。

 最近、ハウスメーカーの広告にある変化があることに気付きました。それは、安さを強調した宣伝していないことです。これは、ハウスメーカーの新聞折込みチラシによくあった「坪単価◯◯円」「コスパ良好」といった宣伝の仕方を今やどこもやっていません。それどころか、比較的高価格帯のハウスメーカーは、新聞折込みにチラシを入れなくなってきているように見受けられます。これは、建材価格、人件費、エネルギーコストの価格が上昇しているからです。

とにかく建材価格が上昇している

 建材価格が上がっているのは周知の事実ですが、その上がり方がとんでもないことになっているのが昨今の状況です。具体的には、年に20%値上げを複数回行っているメーカー、値上げ幅が倍近くのメーカーなどなど異常事態が起きています。値上げの波は10月に再びやってきます。住設大手のTOTOやガラス大手のAGCが値上げに踏み切ります。この建材価格の上昇は、値段の据え置きをできないレベルまで来ています。そのため、これから先、住宅1戸の価格はコロナ禍前に比べてどれくらい高くなるのかが見通せない状況です。

倒産やM&Aするハウスメーカーが出てくる

日本の経済は、低金利で経済が回っていくことに最適化されています。そのため、住宅ローン金利が諸外国のように大幅な利上げとなると、大事件となります。民間所得は上昇しないので、金利は上がる・建材価格や人件費の上昇で住宅コストは上がりっぱなしとなると、住宅産業は深刻な打撃を受けることとなります。

 大手ハウスメーカーをはじめ、分譲住宅・注文住宅で勢いを成していたハウスメーカーは続々とリフォーム産業に進出し、力を入れています。確実に言えるのは、これから業界内で再編が進むということです。倒産またはM&Aをするハウスメーカーが数年もしないうちに出てくることでしょう。

最後に

これから先、新築一軒家はますます高嶺の花のような存在になってきます。持たざる者には縁のない話となってきます。はっきり言って、住宅は昔のようにもう安くは買えないのです。もはや現代の日本はそういう時代になっています。このような時代背景があるにもかかわらず、安さをウリにするハウスメーカーは何かしら「不都合な理由」があるので十分に注意してください。